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免疫特集

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インフルエンザ感染と免疫

メキシコに端を発した新型インフルエンザ。連日トップニュースで伝えられる物々しさに、「新型」出現の深刻さが伝わってきました。どうして「新型」は恐れられているのでしょうか。それは、「免疫」に関係があるのです。まずは、ウィルスと免疫の関係を中心に、今注目のインフルエンザについて特集します。

どうしてインフルエンザは何度もかかるのか?

インフルエンザは、生涯に一度かかれば二度とかからない、というものではありません。おたふくやはしかは、一度かかれば大丈夫だと言われているのに、その違いはどこにあるのでしょうか。インフルエンザは大きく「A型」「B型」「C型」に分けられます。大流行し重症化の恐れがあるのは「A型」で、インフルエンザウィルス全体の約60%を占めます。「A型」はさらにウィルス表面の突起物の種類で「H」(16種類)と「N」(9種類)の組み合わせで表されます。これを「亜型」と言います。例えば、A香港型(H3N2)やAソ連型(H1N1)などは既にヒト型で存在し、よく耳にする亜型です。

通常、ある種のウィルスが体内に入った場合、体内の免疫システムがこのウィルスを退治するとともに、そのウィルスの情報を記憶し「抗体」を作るため、2度目の感染では、発症に至りません。ところが、インフルエンザウィルスは同じ型のウィルスでも、遺伝子レベルで抗原性(表面の突起の形状)を微妙に変化させることで、抗体をうまくすり抜けます。そのため、同じ型のインフルエンザに何度もかかったり、完全に有効なワクチンができなかったりするのです。何度もインフルエンザにかかるのは、賢いインフルエンザウィルスが生き抜くためにとった策ゆえ、と言えます。

免疫を全くもたない「H5」「H7」型の出現は要注意!

では、今騒がれている「新型」のインフルエンザとは何でしょう。A型のウィルスは人間以外に鳥や哺乳類にも広く分布しており、特にカモの腸にはすべての型が常駐していると言われています。通常、その動物間でのみ感染しているウィルスが、感染を繰り返す中で遺伝子変異を起こし、偶然人に感染する。そしてヒト型へ遺伝子変異し、人から人へ感染するようになると、新型インフルエンザの発生となります。

今、特に懸念されている新型が「H5」「H7」といった今までにないH型で「高病原性ウィルス」と言われているものです。鳥インフルエンザ(H5N1型)は強毒性で、免疫の全くない人の間で大流行すれば多くの死者が出ると想定されます。今は鳥から人への感染ですが、人から人への感染も間近だとする声もあり、世界レベルでの警戒態勢が続いています。

インフルエンザの種類

同じ感染でも症状が違うのは、免疫力の違い

インフルエンザウィルスが流行しても、100人が100人、発症するわけではありません。また、発症しても症状の重い軽いに違いが出ます。これにはいろいろな要因が考えられますが、その1つに「免疫力」が挙げられます。「免疫」は人が健やかであろうとする体本来の力。菌やウィルスなどを撃退し、その種類に応じた「抗体」を作ることで、2度目以降の攻撃に備えています。

例えば、既存の型のインフルエンザであれば、予防接種をし、ウィルスの情報を事前に体内に入れておくことで、本物のウィルスが侵入した時に免疫システムが素早くウィルスを退治し、重症化を防ぐことができます。これは人間の免疫システムを利用した代表的な予防法と言えます。

また、今回発生した新型に中高年以上の人に感染が少ないのは、かつて流行した似た型のインフルエンザの抗体が働いているからだと言われています。他にも赤ちゃんや高齢者は、免疫力が低いことで重症化の可能性があります。妊婦は、胎児を異物とみなして攻撃しないように、体自身が免疫力を下げているから注意を要するなど、ウィルスの攻撃と免疫というのは切り離せない関係にあります。

ウィルスVS免疫。決め手は「連携プレー」

では具体的にインフルエンザウィルスと免疫の戦いについて見てみましょう。まずウィルスの侵入に反応するのは、「マクロファージ」という細胞です。アメーバー状のマクロファージはまず自らウィルスを食べることで第一の攻撃を仕掛けます。この時同時に、T細胞という細胞に、ウィルスの情報を伝えます。情報を受けたT細胞は、これまた自ら第二の攻撃を仕掛けるとともに、B細胞に「このウィルスに合った抗体を作れ」と指令を出します。B細胞では情報を元に、抗体を作り、放出。この抗体がウィルスを次々と捕まえ、第三の攻撃で事態は沈静へ向かいます。このB細胞は、ウィルスの情報を記憶することで、次の同類のウィルスへの攻撃に備えることができます。(=免疫を獲得)そして最後は再びT細胞が終了を告げ、すべての攻撃は終了します。この一連の攻撃の間、人の体には、戦いの副産物として発熱、頭痛、せき、鼻水などの症状が出ますが、B細胞の活躍の頃には、症状は回復に向かいます。この戦いは、免疫の連携プレーにより、いかに正確に、素早くウィルスを攻撃できるかがカギとなります。免疫力が弱い人はこの戦いになかなか勝利できないことから、ウィルスの攻撃を多く受け、重症化する可能性が大きいのです。

インフルエンザウィルスと免疫の戦い

乾燥の秋・冬は、再びインフルエンザ流行の可能性

日本ではインフルエンザは12〜3月に流行します。温度が低く乾燥した冬には、空気中に漂っているウィルスが長生きできるからです。また、冷たく乾燥した空気では、ウィルスの第一障壁となるのどや鼻の粘膜の働きが弱ってしまうのも一因です。他にも閉め切った生活環境、年末年始の多くの人の移動なども、ウィルスを流行させる大きな要因になります。今回の新型インフルエンザも高温多湿の夏に落ち着いたとしても、今年の秋・冬に再び流行する可能性もないとは言えず、引き続き予防対策を心がけていきたいものです。

栄養、休息、ストレス解消。予防には、免疫力アップ

流行している時には、うがい、手洗い、マスク、人ごみを避けるなどの対策が基本となります。来る流行への準備としては、これらの要素に加え、何よりも免疫力をアップすることが大切です。免疫力が落ちる大きな理由は、栄養不足、疲れ、ストレスなど。まずは、栄養をきちんととってしっかり休息しましょう。栄養成分としては、タンパク質とビタミン類をバランスよく摂ること。アミノ酸やタンパク質は、細胞や免疫物質の構成成分になるため、日頃の食事からしっかり摂る必要があります。ビタミンでは、ビタミンAとCが大切。ビタミンA、C、Eの抗酸化効果は免疫細胞を守る効果も期待できます。また、免疫力アップに貢献する乳酸菌やビフィズス菌、マクロファージ活性化するβ -グルカンを積極的にとることもおすすめです。精神面では、ストレスをためないことが重要。連日のニュースで、インフルエンザを警戒して心配しすぎるのも、免疫の面からは逆効果かもしれません。


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